日本唯一の経営コンサルティングに関する国家資格として高い注目を集める中小企業診断士。
ビジネスパーソンを中心に男女問わず受験者は増加傾向にありますが、まだまだ女性の割合は低いのが現状です。
本記事では
「女性も中小企業診断士として活躍できるの?」
「女性診断士であることの強みってなに?」
とった疑問にお答えしていきます。
なお、情報が少ない女性の中小企業診断士の実態等についてお伝えするのが当記事の目的であって、決して男女差別等を目的にしたものではないということをご理解頂けると幸いです。
それでは早速見ていきましょう。
女性の中小企業診断士の割合
まずは中小企業診断士試験の受験生の男女割合の推移を見てみましょう。
直近の2019年度分と10年前の2009年度分のデータを抽出しました。
性別 | 申込者数 | 割合 | 合格者数 | 割合 |
男性 | 18,600人 | 93% | 3,437人 | 95% |
女性 | 1,454人 | 7% | 192人 | 5% |
性別 | 申込者数 | 割合 | 合格者数 | 割合 |
男性 | 19,061人 | 90% | 4,143人 | 93% |
女性 | 2,102人 | 10% | 301人 | 7% |
性別 | 申込者数 | 割合 | 合格者数 | 割合 |
男性 | 5,203人 | 95% | 893人 | 94% |
女性 | 286人 | 5% | 58人 | 6% |
性別 | 申込者数 | 割合 | 合格者数 | 割合 |
男性 | 5,761人 | 94% | 993人 | 91% |
女性 | 400人 | 6% | 95人 | 9% |
この10年間で女性受験者の割合がわずかに伸びているのがわかりますが、依然として男性との差は大きく、合格者割合は10%にも満たない状況です。
この結果から、まだまだ女性の中小企業診断士の割合が少ないということが読み取れます。
女性が中小企業診断士を取得する、中小企業診断士として働くメリット
では、ここからは女性が中小企業診断士を取得する、中小企業診断士として働くことによって得られるメリットについてお話ししていきたいと思います。
昇進、転職等のステップアップにつながる
中小企業診断士試験のほとんどの受験者は会社に勤務しているいわゆるサラリーマンであり、その多くは会社内での昇進や転職等のキャリアアップを目指している人たちです。
日本版MBAと称されることからもわかるように、中小企業診断士は経営のプロを意味する肩書きであり、社会的には難関資格として認識されている資格です。
そのような資格を保有することは社内外からの信頼獲得につながり、キャリアアップの端緒となるのは想像が易いのではないでしょうか。
男女平等やダイバーシティ採用など重要性が唱えられてしばらくが経ちますが、正直にいって日本がまだまだ男性社会であることは言うまでもありません。
2018年度の帝国データバンクの調査(以降、同調査)によると、女性社長の就任経緯は「内部昇格」「出向」よりも「同族承継」の割合が高いとされており、このことからも男性の昇進や転職が多いことがわかります。
そのような現状の中で女性が中小企業診断士という肩書きを持つことは、自らの存在をアピールする良い材料になると考えられます。
珍しい存在として目立つことができる
前章で説明したとおり、ほとんどの中小企業診断士は男性です。
また、企業経営者も男性の数が多く、女性社長比率は全体の7.8%に留まっていることがわかっています(同調査)。
今から30年前、1988年の4.2%に比べれば緩やかな上昇傾向といえますが、旧態依然として男性社会であることには変わりありません。
それらを逆手に取れば、女性の中小企業診断士はとても目立つ存在であることがわかりますし、男性目線では生まれなかったアイディアを出すことができるという意味でも貴重な人材といえるでしょう。
男性社会であるからこそ、女性であるというだけで強みになる、といったイメージでしょうか。
独立することで家事や子育てとの両立が可能に
企業内診断士ではなく独立診断士として活動を行うことになれば、企業勤めと比較すると働き方は一気に自由になります。
中小企業診断士の仕事は現場のコンサルティングだけではなく、執筆業や講演業など多岐に渡って活躍できるフィールドがあります。
在宅ワーカーとして活動を広げることも可能ですので、プライペートの時間や家事・子育てと両立して仕事をしたいと考える方にとっても、中小企業診断士は良い資格なのではないかと考えます。
女性中小企業診断士の強み
上記で、女性が中小企業診断士を取得することで得られるメリットについてお話しましたが、お次は女性中小企業診断士の強みという部分に視点を向けてみましょう。
女性ならではの得意分野がある
経営コンサルティングと一口に言っても、クライアントの業種によって、その案件内容は全くといっていいほど異なります。
運送業者とアイスクリーム屋さんが、置かれている事業環境も経営課題も全然違うことは想像ができますね(笑)
企業の経営改善などに取り組む中小企業診断士は、過去の業務経験や知識をバックボーンとして得意分野や得意業種を持っている人が多いのですが、それはつまり女性だからこそ活躍できるフィールドがあるということにもつながります。
例えば、化粧品小売業者のコンサルティングを行うとなった時、男性と女性どちらの方がより現場やお客さんに寄り添った提案ができるかといえば、それは日々化粧品を使っている女性の方が可能性が高いと考えられます。
その他にも理美容関係やアパレルメーカー、ケーキなどのお菓子店、占い等の領域は一般的に女性の方が知見が多いことは明白ですね。
また、女性社長比率が高い業種というのも明らかになっていて、「保育所」の女性社長比率は4割を超えており、「化粧品小売」「美容業」「各種学校」などがそれに続く業種です(同調査)。
女性経営者にとって、女性にしか相談できないことや女性同士だから共感できることは数多くあるはずですし、そのような領域はまさに女性の中小企業診断士が躍動できるフィールドといえるのではないでしょうか。
若年層・女性をターゲットにしたSNSの活用
2019年、日本国内のインターネット広告費用が、元来より最大の広告媒体とされてきたテレビ広告費用を上回ったということが電通の調査で明らかになりました。
まさに業界構造の変化というべき事象ですが、このトレンドの中にSNS市場の拡大も関わっています。
若年層や女性でSNSを利用している割合は非常に多く、もはや生活の一部になっている人も少なくない現状において、これから各企業はSNS戦略にも注力をしていかなかればいけないため、コンサルティングニーズが増えることが予想されます。
日頃からSNSを使っている女性の方が知識・アイディアも豊富にあるでしょうし、クライアントとしても安心感を持てるので、この分野についても女性だからこその強みが活かせるのではないかと思います。
登壇・講演の機会が多い
中小企業診断士は現場でのコンサルティング業務の他にも、登壇や講演を行う機会が割と多くあります。
これは少し偏見もあるかもしれませんが、大勢の前でのプレゼンに関しては女性の方が比較的スキルが高いような印象があります。
男性に比べて女性の方が緊張せずに落ち着いて話す人が多く聴きやすい、と感じたことがあるのは私だけではないと思います。
まぁこれは偏見の域を超えませんが、私自身いくつか聞いた講演の中で、女性の方の講演は非常に良い印象があったので取り上げてみました。
まとめ
この記事では、女性が中小企業診断士を取得するメリット、中小企業診断士として働く強みについて解説をしました。
近年注目度が高まっている中小企業診断士とあって、女性の受験者数も増加傾向にありますが、まだまだその割合は低く、だからこそ活躍できるフィールドは沢山あるといえます。
女性であるがゆえの得意分野や業種は数多くありますし、女性同士だから相談できるという経営課題や社長の悩みも沢山あるはずです。
女性で中小企業診断士に挑戦するか検討されている方、是非とも前向きに考えられてはいかがでしょうか。