中小企業診断士試験の1次試験では全7科目を勉強することになりますが、本日はそのうちの1つ、「運営管理(オペレーション・マネジメント)」についての概要や効果的な勉強方法、合格レベルに達するまで必要とされる勉強時間の目安、その他試験に有用な情報などを解説いたします。
ちなみに筆者は令和元年度中小企業診断士試験の合格者で、私の経験則も踏まえてお話をさせていただこうと思います。
それでは、一緒に見ていきましょう!
運営管理(オペレーション・マネジメント)で問われる内容はどんなこと?
まずは運営管理で問われる内容について、試験実施機関である中小企業診断協会が発行する試験案内を確認していきます。
試験案内中の試験科目設置の目的と内容において、以下の2つの大項目と大項目にぶら下がる形で計9個の詳細項目が挙げられています。
運営管理で問われる内容を簡単に説明しますと、大項目1の生産管理では工場における効率的な運営手法、大項目2の店舗・販売管理では店舗における効果的な販売手法と捉えていただければ宜しいかと思います。
例えば、ある工場で複数の工程を組み合わせて1つの商品を製造しているとします。
その商品の製造に際して、ある工程が遅れることで全体の生産計画が滞ってしまう事態を避けるために、PERTと呼ばれる手法を使って、生産に遅れを生じさせる可能性がある重要な工程=クリティカルパスを把握します。
クリティカルパスを把握することで、その商品の生産に必要な効率的な日程計画を作ることが可能となります。
これが大項目1の生産管理における「生産のプラニング」で学習する内容です。
また、ある店舗では売上を伸ばすために顧客一人あたりの商品購入点数を増やそうと考えています。
商品購入点数を増やすためには、ついで買いを誘発することを目的として、お客さんが様々な商品に触れる機会を設けることが重要です。
つまり、お客さんに店内をぐるぐる回ってもらえるように店舗内の配置を工夫することが必要となります。
そのためには、お店の目玉商品を店舗の奥に配置して、お客さんの移動距離を増やし、移動中のついで買いを誘発するのです。
スーパーマーケットでついつい買い物点数が増えてしまった経験は多くの方がお持ちかと思いますが、実は運営管理で学ぶ手法にまんまと操られたわけです(笑)
これは、大項目2の店舗・販売管理における「商品仕入・販売(マーチャンダイジング)」で学習する内容です。
なお、運営管理で学習する生産管理に関連する知識は2次記述式試験の事例Ⅲ(生産・技術)と深く関連します。
工場における製造現場のイメージが掴めないと苦手意識が生じるかもしれませんが、2次試験でも必須とされる知識ですので、しっかりと取り組みましょう。
運営管理(オペレーション・マネジメント)の科目で点数を稼げる人の特徴
では、運営管理で点数が稼げるタイプを分析していきます。
1次試験では一部の科目において他の資格等を保有することによる試験免除制度が設けられていますが、運営管理に関しては科目免除制度が認められていません。
ですので、何らかの資格保有者が有利となるような知識が問われるわけではありません。
筆者が思うこの科目で点数が稼ぎやすいタイプは以下の方々です。
以上の3タイプです。
工場での製造業や店舗での販売業を経験された方であれば、自身の経験と学習内容を関連付けられる部分があると思いますし、具体的なイメージをお持ちになることで学習内容の記憶定着がはかどることと思います。
これはどの科目にも言えることですが、学習する内容について実践的な経験をお持ちの方は有利だと思います。
また、3つ目の買い物好きな方ですが、こちらのタイプは店舗・販売管理の学習を進める上で、消費者視点に立った逆転的な発想から、販売に関する知識を吸収できると考えています。
実は私自身がこのタイプです(笑)
ショッピングモール大好きだし、スーパーマーケットで鮮魚コーナーを見るのも好きだし、アナログレコードの収集家でもあります。
某有名ECモールの〇〇スーパーセールやら〇〇〇マラソンでも毎月何かしら買っております(笑)
このタイプに該当する方は、買い物する際に観察する癖をつけてください。
店舗における商品の配置、自身の購買プロセスを観察して、説明する習慣を身につけてください。
店舗・販売管理の学習効率が高まることと思います。
運営管理(オペレーション・マネジメント)のオススメの勉強法!
運営管理のオススメの勉強方法は、工場における製造、店舗における販売、それぞれの現場をイメージしながら学習を進めるというものです。
筆者の場合、店舗・販売管理のイメージを掴むことは比較的容易でしたが、工場における製造現場との接点が全く無いことから、生産管理の具体イメージを掴むことに非常に苦労した記憶があります。
一例を挙げると、マシニングセンタという機械があります。
マシニングセンタとはJISで以下のように定義されています。
JISにおけるマシニングセンタの定義
工作物の取り替えなしに2面以上についてそれぞれ多種類の加工を施す数値制御工作機械。工具の自動交換機能又は自動選択機能を備える
文章を読むだけでも何となく意味わかるのですが、字面だけでは知識としてなかなか定着しないものです。
そこで筆者が行ったのは、インターネットで画像や動画を検索して、実際に機械が動いている様子を見ることで具体的なイメージを膨らませるという方法でした。
製造現場と接点がなく、生産管理のイメージを掴みづらい方にとって、この方法はなかなか有効だと思います。
工場や店舗内における効果的な運用、管理方法について学ぶのが運営管理ですので、実際の現場をイメージしながら学習を進めることで、理解が深まりますし記憶も定着しやすいです。
現場での経験が無くとも、インターネットを活用して雰囲気を掴むことは十分に可能です。
工夫しつつ、様々なツールを活用して学習効率を高めましょう。
運営管理(オペレーション・マネジメント)をマスターするのに必要な勉強時間は?
以上を踏まえ、運営管理をマスターするのに必要な勉強時間を検証いたします。
筆者自身の勉強に費やした時間はおおよそ180時間です。
1次試験の7科目に費やした総時間は900時間でしたので、最も多くの時間を費やした科目の一つといえます。
筆者の場合、生産管理に関する現場のイメージがなかなか掴めなかったために勉強の効率が低下し、結果多くの時間を割いたように思います。
先ほど申し上げたように、ネット等を有効に活用することで効率よく学習を進めることをお勧めいたします。
運営管理(オペレーション・マネジメント)についてのまとめ
この科目は、工場や店舗内における効果的な生産・販売、および管理についての学習がメインとなりますので、現場の状況をイメージできるか否かで学習効率に大きな差が生じると思います。
工場や店舗における製造、販売経験をお持ちの方であれば、その経験を十二分に活用して効率的に学習を進めてください。
一方、経験を持っていなくても悲観する必要はありません。
インターネットで画像や動画を参照することで、具体的なイメージを掴むことは可能です。
また、運営管理の知識は2次記述式試験の事例Ⅲ(生産・技術)においても必要となります。
2次試験は事例をベースにした記述回答を求める出題となりますので、現場の具体的イメージを掴めているか否かでより大きな得点差が生じると思われます。
1次試験の勉強を通じて現場で使われる知識をしっかりと身に付け、運営管理と事例Ⅲを攻略しましょう!
なお、当サイトでは他の科目について解説した記事や効率良く学習を進められる科目順についてまとめた記事なども取りそろえておりますので、ぜひ併せてご覧下さい^^