経営コンサルタントとしての技能を証明する国家資格である中小企業診断士は、世界的な権威である「MBA」と比肩されるほどの社会的ステータスのある資格です。
「日本版MBA」と言われると、なんだかめちゃくちゃ難解な資格のように感じますよね。
そこでこの記事では、過去10年間の中小企業診断士試験の合格率についてまとめ、アレコレ分析してみました。
これから中小企業診断士試験を受験しようか考えておられる方は、ぜひひとつの指標として参考にして下さい。
過去10年の1次試験の合格率について
それではまずはじめに、中小企業診断士1次試験の過去10年の合格率についてみていきましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
H25年 | 14,252人 | 3,094人 | 21.7% |
H26年 | 13,805人 | 3,207人 | 23.2% |
H27年 | 13,186人 | 3,426人 | 26.0% |
H28年 | 13,605人 | 2,404人 | 17.7% |
H29年 | 14,343人 | 3,106人 | 21.7% |
H30年 | 13,773人 | 3,236人 | 23.5% |
R元年 | 14,691人 | 4,444人 | 30.2% |
R2年 | 11,785人 | 5,005人 | 42.5% |
R3年 | 16,057人 | 5,839人 | 36.4% |
R4年 | 17,345人 | 5,019人 | 28.9% |
出典:中小企業診断士協会
上記の表を見てみると、大体の年度において20%程度で推移しているのがわかります。
20%というと5人に1人は合格していることになりますので、「超難関資格」とまでは感じないですよね。
どちらかと言えば国家資格の中では易しい部類に入ってくるかもしれません。
この1次試験の合格率がそれほど低くない要因のひとつとして、科目合格制度が挙げられます。
科目合格制度
この制度があることによって1度の受験で7科目すべて合格しなくてもよくなりますし、極論2~3科目ずつ3年間に亘って科目合格していくという方法を選択することも可能になります。
一発で7科目合格しないといけない制度であれば、この1次試験の合格率はもっと下がっていたのではないでしょうか。
1次試験の合格率を科目別でチェック
1次試験全体の合格率を上記項目で確認しましたが、これを科目別で見てみるとどのようになるのでしょうか。
一覧表を作成してみましたので、チェックしてみましょう。
※一覧表は横にスライドできます。
年度 | 経済学・経済政策 | 財務・会計 | 企業経営理論 | 運営管理 | 経営法務 | 経営情報システム | 中小企業経営・政策 |
H25年 | 2.1% | 16.6% | 6.8% | 10.5% | 21.1% | 51.8% | 16.9% |
H26年 | 19.4% | 6.1% | 13.4% | 17.8% | 10.4% | 15.0% | 31.1% |
H27年 | 15.5% | 36.9% | 16.7% | 20.5% | 11.4% | 6.4% | 12.2% |
H28年 | 29.6% | 21.6% | 29.6% | 11.8% | 6.3% | 8.5% | 12.5% |
H29年 | 23.4% | 25.7% | 9.0% | 3.1% | 8.4% | 26.6% | 10.9% |
H30年 | 26.4% | 7.3% | 7.1% | 25.9% | 5.2% | 22.9% | 23.0% |
R元年 | 25.8% | 16.3% | 10.8% | 22.8% | 10.2% | 26.6% | 5.6% |
R2年 | 23.5% | 10.8% | 19.4% | 9.4% | 12.0% | 28.7% | 16.4% |
R3年 | 21.1% | 22.4% | 34.8% | 18.5% | 12.8% | 10.6% | 7.1% |
R4年 | 10.5% | 13.3% | 17.3% | 16.1% | 26.9% | 18.5% | 10.9% |
この表から読み解ける大きな点として、各年科目によってかなり大きな差があるということが挙げられます。
毎年、「1次試験」という括りで見れば比較的20%前後の合格率で安定しているにも関わらず、科目毎の合格率で見てみると、科目間の合格率が同一年度でもかなり開きが出ています。
これはつまり、科目ごとの問題の難易度が年度ごとに変化していることの現れだと思います。
ただ、1次試験は科目合格制度を採用していますので、たとえ運悪く難易度の高い科目が不合格になったとしても、翌年度にまた再受験できるというのはせめてもの救い。
もちろん1発合格を狙っている方からすればたまったもんじゃないでしょうが、科目合格制度という助け舟がある点は有効に使いたいところです。
ちなみに、なんとなくですが前年度の科目合格率がべらぼうに高い場合は、前年分の調整をするかのように翌年分の合格率が下がる傾向(逆も然り)があるようにも感じますので、そのあたりも踏まえつつ戦略的に学習を進めていけばいいかもしれませんね。
過去10年の2次試験の合格率について
それでは、過去10年間の2次試験の合格率はどのようになっているのでしょうか。
推移を見てみましょう。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
H25年 | 4,907人 | 910人 | 18.5% |
H26年 | 4,885人 | 1,185人 | 24.3% |
H27年 | 4,941人 | 944人 | 19.1% |
H28年 | 4,394人 | 842人 | 19.2% |
H29年 | 4,279人 | 828人 | 19.4% |
H30年 | 4,812人 | 905人 | 18.8% |
R元年 | 5,954人 | 1,088人 | 18.3% |
R2年 | 6,388人 | 1,174人 | 18.4% |
R3年 | 8,757人 | 1,600人 | 18.3% |
R4年 | 8,712人 | 1,625人 | 18.7% |
出典:中小企業診断士協会
これを見て、合格率の増減が非常に少ない事に気づかれたのではないでしょうか。
これは、中小企業診断士の2次試験を突破するにあたってひとつのキモとなる部分で、1次試験と違い明確な答えのない筆記試験があるという点がこのような結果に結びついていると考えられます。
どういうことかと言いますと、まず1次試験の合格基準は以下のように定められています。
いわゆる絶対評価的な方法ですので、問題の難易度によって合格率が変動します。
一方の2次試験の合格基準はと言いますと、
とされているのですが、一般的に2次試験は相対評価だといわれており、ざっくり上位20%の人が合格するよう調整されていると考えてよいかと思います。
そうでなければ、こんなにきれいに毎年20%前後の合格率にはならないでしょう。
なお、中小企業診断士の2次試験は大きく筆記試験と口述試験に大別されますが、例年口述試験についてはほぼ全員合格されていますので、いかに筆記試験で上位20%に入るかといったところに重きをおいて勉強に励むと良いでしょう。
過去10年の1次・2次試験を合算した合格率はかなり低い
では最後に、上記で挙げた1次・2次試験を合算した合格率を算出してみましょう。
年度 | 1次試験合格率 | 2次試験合格率 | 合計合格率 |
H25年 | 21.7% | 18.5% | 4.0% |
H26年 | 23.2% | 24.3% | 5.6% |
H27年 | 26.0% | 19.1% | 4.9% |
H28年 | 17.7% | 19.2% | 3.3% |
H29年 | 21.7% | 19.4% | 4.2% |
H30年 | 23.5% | 18.8% | 4.4% |
R元年 | 30.2% | 18.3% | 5.5% |
R2年 | 42.5% | 18.4% | 7.8% |
R3年 | 36.4% | 18.3% | 6.7% |
R4年 | 28.9% | 18.7% | 5.4% |
出典:中小企業診断士協会
どうでしょう。直近10年では合格率が5%を越えたのが5回という点から見ても、かなり難易度が高いのがお分かりいただけるかと思います。
一番低い時なんて3.3%ですから、難関と言うしかありませんね。。
ただ、当たり前ですが学習時間を十分に取れなかった方や、学習法が我流で理解度が不十分なまま受験した方なども含めた数字になりますので、学習の方向性を間違わなければ、合格は不可能ではありません。
しっかり学習計画を組み、戦略的に勉強を進めていくようにしましょう。
まとめ
この記事では、中小企業診断士の合格率のお話をしてきました。
色々分析してみて分かったことは、「やっぱり中小企業診断士は難関資格」だということ。
合格率が常に一桁台なので気持ち的にもかなりキツイでしょう。私も中小企業診断士を目指すにあたり、この数字を見て結構凹みました(笑)
しかし、試験の確実な攻略法と効果的な学習法によって学習すれば、合格率に関係なく合格レベルに達することは十分可能です。
私は効率よく中小企業診断士試験の合格を目指すのであれば、
通信講座で勉強をするのが一番
だと考えております。
その理由や他の勉強方法の特徴などを以下の記事でまとめておりますので、宜しければこちらも参考にしていただければ幸いです^^
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どんな試験でも結局は自分がどれだけ頑張れるかにかかっているわけですので、「絶対に合格するんだ!」という強い気持ちを持ち、継続的に学習に励みましょう!!