中小企業診断士を目指している方や合格者の中には、社会保険労務士(社労士)の資格が気になっているという方が意外に多いように思います。
実は、筆者自身もそんな一人であり、中小企業診断士と社労士のダブルライセンスを所有しております。
今回の記事では、中小企業診断士と社労士の試験内容や難易度、将来性を比較することで両者の違いを確認しつつ、ダブルライセンスの相性についても考察していきたいと思います。
最初に結論を言ってしまうと、両資格の相性は非常に良いです!
どちらを取るべきかと言うと、筆者的には中小企業診断士を取るべきだと考えておりますが、その根拠を記事の中で詳しく解説していきますね。
診断士を目指しつつ、社労士も気になっているという方は、診断士試験勉強の合間にご一読ください。
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社労士試験ってどんなことが問われるの?社労士試験の概要を確認!
まずは、社労士試験の概要を確認していきます。
出題される科目は「労働関係科目」4科目と「社会保険関係科目」4科目の計8科目となり、詳細は以下のようになります。
労働関係科目
- 労働基準法及び労働安全衛生法
- 労働者災害補償保健法
- 雇用保険法
- 労務管理その他の労働に関する一般常識
社会保険関係科目
- 社会保険に関する一般常識
- 健康保険法
- 厚生年金保険法
- 国民年金法
社労士試験は選択式試験と択一式試験から構成されます。
選択式試験とは問題文章中に5つの空欄があり、選択肢の中から適切な語句を選択する試験形式で、択一式試験は問題に対する解答を5つの選択肢から1つだけ選ぶ、いわゆる多肢択一形式です。
いずれの試験でも基準点を上回る総得点を獲得しつつ、各科目における最低基準点を下回らないことが合格の条件となります。
総得点が基準点を上回っていても、1科目でも科目最低基準点を下回る科目があれば不合格。つまり、得意科目を伸ばすことよりも不得意科目を作らないことが重要といえます。
なお、診断士試験の概要を改めて確認したい方は以下の記事よりご確認ください。
【ココを見れば全て分かる】中小企業診断士の試験概要(申し込み方法や期間・試験日・合格点等)
【診断士試験と社労士試験】大きく異なる2つのポイントとは?
社労士試験の概要を確認したところで、両試験で大きく異なる2つのポイントをご紹介したいと思います。
筆者はどちらの試験も独学で学習を進めましたので、両試験を攻略するための戦略、カリキュラムもすべて自分で作成しました。
そんな進め方を体験していますので、両試験を攻略するための重要ポイントは正しく把握できていると思います。
ポイントとして挙げるのは以下の2点です。
- 理論型と暗記型
- 文章構成力が必要か否か
では、1つずつ見ていきましょう。
ポイント①:理論型と暗記型
まず1つ目の大きな違いは、「理論型か暗記型か」という点です。
診断士は理論型で、社労士は暗記型で学習を進める傾向が強いということを意味します。
- 診断士は理論型
- 社労士は暗記型
診断士試験では、細かな数字やルールを丸暗記する類いの学習はほとんどありません。
ガチガチに暗記することよりも、ロジカルに考えながら解答を導く能力が求められているように思います。
一方、社労士試験では基礎年金額や障害年金額の数字そのものを丸暗記するように、とにかく強制的に詰め込んで、暗記力で攻略する傾向が強いといえるでしょう。
数字の丸暗記にロジックは不要ですし、筆者の場合は語呂合わせで無理矢理詰め込んでました。
そんなわけで、診断士試験=理論型、社労士試験=暗記型という違いを意識した学習スタイルを採用することが、学習を進める上で重要になってきます。
両者とも同じ学習スタイルを採用していたのでは、一方は攻略できてももう一方の攻略は厳しいように思います。
理論型と暗記型、それぞれに適した学習の進め方があることを念頭に置いて、学習計画を立てることが肝要です。
ポイント②:文章構成力が必要か否か
続いて、2つ目の大きな違いが「文章構成力が必要か否か」という点になります。
診断士受験生ならばお解りだと思いますが、診断士2次試験は記述形式で回答するスタイルです。
- 「150文字以内で留意点を述べよ」
- 「200文字以内で、成功しなかった要因を述べよ」
実際に回答してみるとよく解りますが、指定された文字数ギリギリで要点が伝わる文章を構成することは非常に難しいです。最初の内は、ギリギリの文字数で埋めるということすらできません。
一方、社労士試験では自らが文章を構成するという状況は発生せず、選択式、択一式ともにマークシートで回答することになります。
つまり、診断士試験では文章構成力が求められる一方で、社労士試験では文章構成力は不要という大きな違いがあるということです。
- 診断士は文章構成力が必要
- 社労士は文章構成力は不要
診断士試験では、文章を制限文字数内で完成させるために一定のトレーニングが必要であるという点を認識しておきましょう。
ただし、「僕は作文が苦手だから社労士にしよう」という発想はしないでください。
学校の課題にあったような、文章表現を重視するタイプの作文ではありません。
文章構成の手法は、練習を重ねれば誰でも身につけることが可能です。
【どっちが難しい?】診断士試験と社労士試験の難易度を比較!
診断士試験と社労士試験、両者間の重要な違いを確認してきましたが、「じゃあどちらの方が難しいの?」という点も知りたいポイントですよね。
ここはまず合格に必要と言われている勉強時間から見てみましょう。
社労士 | 中小企業診断士 |
800~1,000時間 | 1,000時間以上 |
このように、合格までにかけるべき勉強時間としては社労士の方が多少は少なく済みそうです。
中小企業診断士の勉強時間は1,000時間以上と言われていますが、筆者の感覚では確実に合格にたどり着こうと思うと1,300時間は確保しておいた方が宜しいかと思います。
社労士は1,000時間でも事足りるかなという印象。
ではお次に合格率を確認してみましょう。以下、社労士の過去5年間分の合格率です。
年度 | 合格率 |
平成29年度 | 6.8% |
平成30年度 | 6.3% |
令和元年度 | 6.6% |
令和2年度 | 6.4% |
令和3年度 | 7.9% |
このように、毎年およそ6%程度の合格率となっています。
一方、中小企業診断士試験はというと、、
年度 | 合格率 |
平成29年度 | 4.2% |
平成30年度 | 4.4% |
令和元年度 | 5.5% |
令和2年度 | 7.8% |
令和3年度 | 6.7% |
とまぁこのように社労士よりも更に低い数字が並びます。。
近年は少し合格率が高い傾向にありますが、基本的に毎年大体4%前後の合格率になると言われていますので、それに比べると多少は社労士の合格率は高いものの、非常に難関な資格である事がわかります。
で、両方の試験を経験した筆者から言わせていただくと、
というのも、1次試験で多肢択一形式7科目を受験し、その次の2次試験ではスタイルががらっと変わる記述式試験を受験し、最後は口述試験、という具合に試験の長期ロードを経て、やっと合格を勝ち取ることになるからです。
一方の社労士試験は8科目あるとはいえ、試験自体は1日で終了しますから、試験を終えたらあとは合格発表を待つだけです。
難易度というより困難度といえるのかもしれませんが、診断士の方が苦労した感覚が残っていることは事実です。
ただし、達成感が大きかったのも診断士であることは間違いないです。
【どっちが稼げる?】中小企業診断士と社会保険労務士の年収比較!
難易度比較の次は、年収を比較してみましょう。
よく言われる平均年収としては、以下のような金額が挙げられます。
社労士 | 中小企業診断士 |
500~700万円 | 500~800万円 |
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上記の数字を見ても分かる通り、信頼できるデータというものが少なく、大体且つかなり幅が広い数字となっております。
そもそも平均値を算出したところで、個人間格差が大きいであろうことは容易に想像できますが、ここで終わってしまっては意味がないので、筆者の身近にいる診断士、社労士の実例をお伝えしようと思います。
筆者の視点からの感想をシンプルに言うと、診断士も社労士も普通に食えているという印象です。世間ではよく、
- 診断士は食えない!
- 足の裏の米粒だ!
という声を聞きますが、全くもって食えない資格なんてことありませんし、むしろ一般的なサラリーマンよりもリッチな印象があります。
診断士が食える資格である理由を別記事で詳しく解説してますので、気になる方はこちらもどうぞ。
中小企業診断士は食えない資格?いや!食える資格!【そこには3つの理由がある】
話を戻しまして、どちらも食えてるのは間違いないですが、どっちの方が稼いでいるかといえば何ともいえません。筆者も知りたいです(笑)
ただ、働き方のスタンスが明らかに異なっていると思います。
診断士はフリーランスという感じで様々な種類の仕事をこなしているように思いますし、社労士は独占業務である社会・労働保険関係の手続き代行をメインに手堅く仕事をこなしているという印象です。
年収比較の結論としては、どちらも十分に食える、ということでドローといたします(笑)
【どっちが有望?】中小企業診断士と社会保険労務士の将来性を検証!
筆者自身、確認しておきたい点がもう一つあります。それは両資格の将来性についてです。
昨今のAIの発展により士業の仕事が奪われるという話題を、どこかで耳にしたという方も多いのではないでしょうか。
近い将来、価値を失ってしまうような資格を取得する意味はありませんよね。
オックスフォード大学と野村総研の共同研究により、AIによる代替可能性の高い職業が公表されています。
そこから、士業だけを抜粋したものが以下の一覧となります。
資格名 | AIによる 代替可能性 |
主な業務内容 |
行政書士 | 93.1% | 官公署提出書類の作成代行 |
税理士 | 92.5% | 税務書類の作成代行 |
弁理士 | 92.1% | 特許の出願・登録手続き |
公認会計士 | 85.9% | 財務監査・証明 |
社会保険労務士 | 79.7% | 労働・社会保険関係書類の作成代行 |
司法書士 | 78.0% | 登記や供託に関する手続き代行 |
弁護士 | 1.4% | 訴訟代理等の法律事務 |
中小企業診断士 | 0.2% | 中小企業の経営コンサルティング |
ご覧の通り、代替可能性が90%を超える士業が弁理士、行政書士、税理士の3つです。なかなかにショッキングな内容です。
社労士も79.7%とゾッとするような数値となっています。
一方、中小企業診断士は士業の中で最も低い0.2%となっており、AIによる代替可能性はほとんどないといえそうです。
手続きを進めるために膨大な知識が必要であったとしても、それは人工知能によりカバーできる範疇ですから、考えてみれば当然の結果のように思えます。
コンサルティング業務には、決まりきった手続き的要素がありません。
経営者と共に、状況に応じた最善策を講じていくという業務をAIが代替していくには、まだまだ時間がかかるでしょう。
というわけで、将来性の面に関しては中小企業診断士に軍配が上がるように思います。
ダブルライセンスは有効?診断士と社労士の相性は?
では、ここからはダブルライセンスの有効性、相性を検証してみたいと思います。
筆者の考えでは、ダブルライセンスの有効性は高く、相性は非常に良いと思います。
診断士はフリーランス的に様々な種類の仕事を行っているという点をお伝えしましたが、何でも屋さんという立場は、強みを訴求しづらいという弱点を持っているともいえるでしょう。
そこに社労士という肩書きが加わることで、人事・労務面に強いコンサルタントという価値が生まれ、顧客となる経営者に訴求できる強みが加わります。
また、社労士サイドからすると、社会・労働保険関連の知識だけでなく、経営全般の知識を持っているという強みが生まれることになります。
経営を考える上で人的資源はとても重要なものといえますが、ヒトを中心に据えたプロの経営コンサルタントという価値は非常に強力な武器になるのではないでしょうか。
なお、当サイトでは中小企業診断士と相性の良い資格をまとめた記事も別で用意しておりますので、興味がある方はこちらもぜひご覧下さい。
中小企業診断士と合わせて取るならこの資格!相性の良い資格5選を解説
まとめ&お得な情報!
今回の記事では、診断士と社労士を比較しつつ、ダブルライセンスの有効性を検証してみました。
どちらも合格率は一桁であり、2つとも取得するにはそれだけの時間と労力を要するものですが、両方を取得することの価値は非常に大きいと思います。
また、経営支援という面で両者のベクトルは一致していますので、両者を取得していることで顧客への訴求力を高めることができるとも思います。
中小企業診断士に合格した上で更なる強みを持ちたいという方は、社労士資格の取得を前向きに考えてみるのもアリかと思います。
ただし、目の前にある中小企業診断士へのチャレンジは疎かにしないでくださいね。将来性のある非常に魅力的な資格、職業であることは間違いありませんから。
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それぞれ以下のような内容が書かれており、これから資格取得を目指す方にとって必見の内容となっております。
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ご検討中の方は取り寄せてみてはいかがでしょうか^^
(※よくある営業電話などもかかってこないのは確認済です)
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