近年、診断士試験の学習方法についてインターネットで調べていると、「独学でも合格できなくはない。ただし、予備校や通信講座を利用するのが一般的。」といった意見が多く見られます。
確かに、合格後の実務補習で知り合った中小企業診断士のほぼ全員が通信講座等を利用して合格していることは事実です。
そんな中でも、筆者は予備校や通信講座を利用しない独学スタイルで学習をすすめ、一回の受験で合格することができました。
今回の記事では、通信講座や予備校の学習ツールを一切利用せずに、1年と少々の期間で独学合格を果たしたレアな合格者の学習スケジュールを公開したいと思います!
予備校や通信講座を使って挑戦する方、独学で挑戦してみようという方、どちらの受験生にとっても効率的に学習を進めるためのヒントになる部分もあるかと思いますので、ぜひ参考にして下さい!
【学習年次表から見る】独学一発合格までの軌跡
まずは、下記の表に学習開始から合格までの軌跡を大まかにまとめましたのでご覧ください。
年月 | 出来事 |
2018年6月 | ふと中小企業診断士になりたいと思い、テキストをネットで入手。学習開始。 |
9月~11月 | 特定社労士になるための紛争解決手続代理業務研修のため、診断士の学習は一旦休止。 |
12月~ | 診断士の学習を再開。 |
2019年3月 | 特定社労士試験に合格。喜びにひたる暇も無いほど診断士試験の学習(笑) |
8月 | 診断士1次試験。特別に良くもなく、悪くもない感じで全科目合格。2次試験学習開始。意味不明すぎて意識が飛ぶ(笑) |
9月中旬 | 2次試験のコツをつかむ。開眼。 |
10月 | 2次試験受験。 |
12月 | 12月 2次試験合格。あせる(笑)口述試験受験。クリスマスに合格通知を受ける。 |
以上が、合格までの大まかな流れです。
学習開始から合格までの流れを振り返って、ポイントとなる部分を解説していきます。
2018年6月~
うまく説明できませんが、ふと診断士の受験を思い立ちました。
スマホで情報を拾ってみると独学では厳しいかも…。でも、とりあえずやってみようの精神で、その日のうちにネットで一番売れ筋のテキスト、問題集、過去問集を購入しました。
購入したのは、重要であるらしい以下の3科目。
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理
届いた日から問題集を解き始め、わからなくても「問題演習」→「テキスト読み込み」という流れでインプットを進めます。
アウトプットが最良のインプットであると考えていましたし、今もその考えが正しいと思っています。
とにもかくにも、思い立ったが吉日です。すぐに始める人が試験を制します(多分…)!
2018年9月~11月
筆者は社労士資格も取得しており、実は、特定社労士になるための紛争解決手続代理業務試験も申し込んでいたのです。
そのため、この期間は診断士の学習は完全にストップです。
ただし、特定社労士試験の学習に追われていたため、学習習慣が途切れることはありませんでした。
2018年12月~
診断士の学習を再開です。前述した主要3科目以外のテキスト類も購入し、2月には全科目に手を付けました。
主要3科目から学習を開始し、その他の科目は順次進めていくという方法はオススメです。
この主要3科目は2次試験でも問われる分野なので、時間をかけてでもしっかりとマスターしたい科目群です。
学習の進め方はひたすら問題演習で、テキストは通勤中や移動中のスキマ時間に読み込む程度です。
「中小企業経営・政策」なんてほとんどテキストを開いてませんし…。
5年分の過去問で問われている分野を完璧にマスターすることを目標に、学習を進めていました。
つまり、学習ツールの中心は過去問演習となります。
試験終了後、いずれのテキストもピカピカな状態でした(笑)
その一方で、過去問題集はボロボロです。
問題演習を学習の中心にすることが、効率的に学習を進める上で重要なポイントであると思います。
何度でも言いますが、アウトプットが最良のインプットです。
2019年8月
1次試験の結果は、突出した高得点科目もなく、かといって極端に悪い科目もなくといった感じで全ての科目が60点代後半で合格です。
自己採点で合格を確信してから2次試験の学習を開始しましたが、あまりにも掴み所のない内容に焦ったことを覚えています。
点数の取り方がわからない…
文字数の感覚がつかめない…
ですが、2次試験の学習方法も問題演習が中心です。
とりあえず過去問に触れてみて、解いてみて、模範解答と見比べるということを繰り返し繰り返し行う日々でした。
2019年9月
2次試験の学習を開始してから1ヵ月が経過した頃でしょうか。
問題で問われている内容を理解できていることに気付きました。
問われる内容が理解できると、学習すべき内容が明確になります。
そうなってくると、ぼんやりしていた2次試験というターゲットをはっきりと捉えることができます。
「聞かれていることに真っ正面から答える」というのは簡単そうでいて難しいものだなぁ、と毎日実感していましたが、試験が近づくにつれて手応えを感じられるようにもなっていました。
2019年10月
2次試験本番で意識したことは、とにかく全問を解き終えるということでした。
タイムオーバーにより空欄で提出してしまうと確実に点数が付きませんから、それだけは避けようという狙いです。
試験直前には、回答を構成する際の文字数のコントロール精度がかなり高い状態でした。
与えられたマスを余すことなく書き切る自信はありましたし、試験本番でもキレイにマスを使い切ったと思います。
試験直後の感想としては、内容はさておき全問を無事に解き終えたという充実感を得ることができました。
2019年12月
2次筆記試験の合格を確認したときは嬉しさもありましたが、受験期間が終わってしまうことに多少の寂しさを感じるという、なんとも不思議な気持ちになったことを覚えています。
途中、他資格の受験による休止期間を経つつもトータル14ヵ月、1,200時間オーバーの学習時間を費やしました。
まさに試験学習が生活の中心という状態でした。
合格後の実務補習で知り合った方々の中にも、生活に張りが無くなったとボヤいている方が何人かおり、それだけ集中して試験に取り組んでこそ合格可能性を高められるのだと思います。
独学一発合格者の1日の学習スケジュール
独学合格までの軌跡をご紹介しましたが、ここからは受験生時代の1日の学習スケジュールをご紹介いたします。
平日の学習スケジュール
また、昼休みも45分ほどの学習時間を確保することができます。
机に向かい、まとまった勉強時間が確保できる状況では問題演習、それ以外のスキマ時間はテキストを読むという流れで学習を積み重ねていました。
休日の学習スケジュール
ただし、気分が乗らない日は思い切ってリフレッシュすることも必要。リフレッシュする日は休日と決めていました。
というのも、休日フルで遊びに出かけた方がリフレッシュ効果が高いと思えたからです。
でも、リフレッシュは3ヵ月に1日程度で、基本的には勉強の日々でした。
今、振り返ってみてもまさに勉強漬けの1年少々です。自分のこととは思えません(笑)
でも、いずれの合格者もこれぐらいのテンションで勉強していると思います。
逆にいえば、このテンションで勉強すればあなたも中小企業診断士になれるということです!
【超重要】学習スケジュールを組むときの3つのポイント
ここまで学習スケジュールをご紹介してきましたが、ここからは学習スケジュールを組む際に留意していたポイントを3点ほどご紹介いたします。
その3点とは以下の通りです。
- 目標は細分化してからスケジュールを組もう!
- スキマ時間もスケジュールに組み込もう!
- 継続すれば苦しくない!習慣化のススメ!
それでは順番に解説していきますね。
目標は細分化してからスケジュールを組もう!
筆者の学習時間はトータルで1,200時間を超えました。学習時間を一つの目標値とするケースを想像してください。
14ヵ月間で1,200時間の学習時間を積み重ねる、という目標を達成するための具体策をイメージできる人はどれ位いるのでしょう?おそらく、ほとんどいないでしょう。
長期に亘る計画ほど数値が大きくなりますので、具体的なイメージが沸きづらいものです。
そのようなときは、細分化してイメージしやすいものに置き換えましょう。
86時間 ÷ 30日 = 3時間弱/1日
こんな感じで計算すると、14ヵ月で1200時間を確保するには、月86時間ほど、1日にすると3時間弱の学習が必要だということが分かります。
いかがでしょう?グッとイメージしやすくなりますよね。
大きな目標を実現するためには、具体的にイメージできるまで細分化した上で、現実的なスケジュールを組みましょう。
スキマ時間もスケジュールに組み込もう!
筆者は問題演習を中心に学習を進めましたが、スキマ時間を活用してテキストが読めるように、いつもテキストを持ち歩いていました。
このスキマ時間を活用したテキストの読み込みは、知識の補充に役立ったと思います。
例えば通勤時間中や仕事のお昼休みなど、探せばちょっとしたスキマ時間って結構ありますから、工夫することで効率よく学習を進めることが可能。
貪欲に少しのスキマ時間にも勉強を重ねることで、知識を増やしていきましょう。
継続すれば苦しくない!習慣化のススメ!
筆者の学習スケジュールを見て、自分にできるか不安になる方もいるのではないでしょうか。
大丈夫です。今の筆者がここで紹介した学習スケジュールを再度実行できるかといえば、自信がありません(笑)多分無理です…。
でも、試験開始当初のモチベーションが高い時期に学習を習慣化することができました。
習慣化することで苦痛を軽減できます。試験が終わってみたら、勉強時間が無くなって少しセンチメンタルな気持ちになるくらいです(笑)
だまされたと思って2ヵ月間続けてください。2ヵ月もすると習慣化して、勉強するのが日常になります。
なお、当サイトでは開始時期ごとの勉強方法やスケジュール感について非常に詳しく解説した記事もご用意してますので、こちらもぜひ参考にしてください。
開始時期ごとの勉強方法やスケジュール感をチェック!
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まとめ
今回は、診断士試験に一発・独学合格した筆者(TaTTa)の学習スケジュールをご紹介してきました。
診断士試験に合格するためには、相応の努力が必要です。とくに学習時間の確保は絶対に必要であると実感しています。
毎日3時間の勉強を1年間継続する、と聞くとひいちゃいますよね(笑)
でも、そのスケジュールを定着させるための工夫、メソッドも存在します。目標を達成するためには、適正なスケジュールが必要です。
私は独学でなんとか合格までたどり着く事ができましたが、正直おすすめはしません(笑)
行き詰まったときでも全て自分で解決しないといけませんし、モチベーションの維持なんかも結構大変です。
個人的には金銭面やスキマ時間を活かせる点、サポートの点などをふまえて通信講座で学ぶのが一番効率よく合格を目指せると思うのでおすすめします。
このあたりの学習方法について掘り下げた記事もご用意しておりますので、ぜひこちらも参考にして下さい!
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