中小企業診断士の受験を検討されている方、もしくは学習を始められた方、「勉強会」の存在をご存知でしょうか?
学習を進めていくうえで一度は耳にするであろう勉強会ですが、
「実際に何をやっているの?」
「どんな人が参加できるの?」
などの疑問が出てくると思います。
この記事では、中小企業診断士試験の勉強会とはどんなことをやっているのか、また各地で開催されている勉強会はどんなものがあるのか解説していきたいと思います。
中小企業診断士の勉強会とは何なのか
中小企業診断士の勉強会とは、受験生が有志で集まり合格に向けて共同で学習をする場のことを指します。
中小企業診断士資格取得支援団体が定期的に開催している大々的な勉強会があれば、仲の良い受験生同士が集まって行うオフ会のようなものもあって、更に最近はWeb上で開催されるものも増えるなど、様々な形が存在しています。
TACや資格の大原といった資格取得支援スクールに通う場合は、年間20〜30万円程度の費用が発生しますが、有志団体の勉強会であれば参加費は年間1万円〜に抑えることができ、資格取得支援スクールの代替として活用する受験生がいれば、当該スクールの補完的役割として活用する受験生もいます。
なお、中小企業診断士の世界においては研究会というものもありますが、研究会は中小企業診断士資格保有者のみが参加できる任意団体で、勉強会とは全く違うものです。
研究会では同期合格者だけでなく歴代の試験合格者とのつながりが一気に増える貴重な場ですので、合格後の楽しみにしていただけたら良いかなと思います。
勉強会では具体的に何をやっているの?
では、勉強会では具体的にどのようなことをしているのかというお話を順番にさせていただきます。
1次試験対策
テキストの輪読による基礎知識の習得や、問題集・過去問解答に取り組んでいます。
各勉強会がもつ独自のデータやノウハウを活用した過去問分析も実施しています。
1次試験対策は資格取得支援スクールと大きな差はないと思います。
2次試験対策
メインは過去問の分析・解答の方向性に関するディスカッションです。
2次試験は試験運営側から正式な模範解答が開示されないシステムとなっており、より多くの受験生・合格者のアプローチ方法を情報収集しておくことは非常に有効な対策です。
資格取得支援スクールよりも意見交換をする時間が長いのが特徴です。
勉強会出身の診断士による講演等
試験対策に絞った勉強会のみを実施している団体はあまりなく、その勉強会を経て診断士となった方の学習体験記や合格後の活動などについても、各種イベントを通じて聞くことができます。
そこでしか得られない有益な情報もあるかと思いますので、合格後を見据えた活動ということで非常に有意義だと思います。
交流会・懇親会
日頃の悩みや疑問点をよりディープに共有・相談する場として活用できます。
それはもちろん良いことなんですが、参加しすぎて勉強がおろそかになってしまうのは本末転倒なので注意しましょう。
勉強会に参加するメリット
ここからは、中小企業診断士の勉強会に参加するメリットについて、私が思いつく中で特に良いと思う点をご紹介したいと思います。
今回挙げた勉強会のメリットは3点です。順番に見ていきましょう。
メリット①:知識補充
皆さんご存知の通り、中小企業診断士試験は決して簡単な試験ではありません。
1次試験は7科目、2次試験は4科目から成っていて、幅広い範囲の学習が求められるのが特徴的です。
多くの有志団体による勉強会では、実際に試験に合格した先輩診断士による指導が受けることができ、また直近年度に合格した人がスタッフに多いため、受験生目線に立ったわかりやすいアドバイスを提供してくれます。
受験生同士のお互いの知識を共有することで、自分以外の受験生の思考や知識を効率的に手に入れることも可能です。
特に2次試験対策においては勉強会は非常に有効といえます。
論述形式の2次筆記試験には独特の癖があり、かつ運営側から正式解答が公開されないため、情報集めが一つの大きなポイントになります。
同好の士が集まる勉強会のような集まりは貴重な情報収集・情報交換の場だと考えています。
メリット②:モチベーションの維持ができる
殆どの受験生はお仕事をしながらの学習になると思いますが、帰社後、同僚がお酒を飲みに行ったりゴルフの練習に行く中、自分だけ直帰して勉強する日々がずっと続くのは正直辛いです。
そんな時に同じ境遇にいる受験生とのコミュニティがあれば、受験生にとってモチベーション維持向上につながりますし、他の受験生の学習方法などを参考にしながらお互い切磋琢磨することが可能になります。
また、勉強会出身者による合格後の活動内容なども聞くことで、更に学習意欲を奮い立たせることができるのではないでしょうか。
メリット③:合格後の活動にもつながる
中小企業診断士は弁護士や税理士と違って独占業務がないので合格後の可能性は無限大といえますが、逆にいえば決まった道がない分、試験に合格しても何をしていいかわからないという状況に陥る懸念があります。
ですから、先輩診断士の合格後の活動内容を知ることは非常に有益です。
受験仲間の参加している研究会をお互いに紹介しあうなど、勉強会でできたつながりは合格後の活動まで直結する貴重なものになりますので、この点もメリットとして非常に大きいと思います。
各地で開催されている勉強会
さて、ここまで勉強会の内容やメリットなどについてお話してきましたが、どんな勉強会が開かれているのか気になりますよね。
以下に、有名どころの勉強会をいくつかまとめてみましたので、是非参考にしてみて下さい。
タキプロ
日本で一番大きな勉強会といわれているのが「タキプロ」です。
東京・関西・名古屋で勉強会やセミナーが開催されており、ブログやFacebookを通じて各種情報提供も行なっています。
なお、当該3拠点以外の地域の方もWEB勉強会に参加することができます。
2009年の発足以来、着実にスタッフの数も増えて2020年6月時点では600名以上のメンバーがいるそうです。
10年以上の運営歴があるため、合格後の人脈作りにも役立つのではないでしょうか。
参加費は1回あたり500円ですが、たまに無料でやっているものもあるようです。
ねくすと勉強会
東京千代田区内の区民館で毎週水曜日の夜に勉強会を開催しているのが「ねくすと勉強会」です。
水曜日以外の日は、週末勉強会やOBによる個人指導・講演なども展開しています。
1月と8月には「診断士祭り」というイベントも主催していて、合格者による試験合格へのアドバイス、学習相談を行っています。
1次試験初学者グループ、1次試験再受験グループ、2次試験グループの3つに分かれて、1次試験の2グループは本試験の過去問題の復習、問題集の解答、白書の輪読、2次試験グループは解答の方向性についての議論などをしています。
参加費は年間1万円程度です。
弱小診断士勉強会
1992年に創立された歴史ある団体で、東京都上野・秋葉原周辺で毎週土曜日の日中に勉強会を開催しています。
1次試験対策からスタートするグループ(ストレート組)と2次試験対策に専念するグループ(二次組)に分けて勉強を進めていく形で、経験豊富なスタッフ陣のもと確立されたノウハウを受験生に提供しています。
ストレート組は毎週2科目ずつ勉強しているため、合格済科目の週は二次組で学習するといったようにグループを上手に使い分けることで、自分の状況に合わせて勉強することが可能です。
グループウェアを活用した活発な情報交換が行われていますし、過去の勉強会で蓄積したノウハウも全て自由に活用することができます。
年会費1万円の参加費がかかりますが、初回無料見学ができます。
ふぞろいな合格答案プロジェクト
2次試験対策の定番である「ふぞろいな合格答案」執筆メンバーによる試験対策勉強会です。
講義形式によるセミナーのような形で開催されており、2次試験攻略に向けたノウハウ提供、少人数グループでの質問相談会、さらには試験直前の過ごし方対策などを提供しています。
この勉強会は不定期で開催されていて、イベントごとに参加費も異なるので随時情報をチェックしていいただくことが肝要かと思います。
なかにはWEB会議システムによる無料セミナーも開催しているようです。
まとめ
今回は中小企業診断士試験の勉強会についてご紹介しました。
私自身、勉強会は2次試験対策とモチベーションの維持という観点でとっても有益な手段だと思います。
2次試験は本当に謎多き試験です。
ひとりで学習しているだけでは自分の読解プロセスや解答が正しいのか不安になるので、多くの情報を収集したうえで臨むことが試験突破に重要な役割を果たします。
私が受験生時代は3人での小規模勉強会を2週間に1度程度の頻度でやっていましたが、それぞれ違うスクール・違う講師の講義を受けていて全員解答プロセスが異なっていたため、様々な発見と学びがあり、それが合格に結びついたと今でも思っています。
今回の記事が皆様の学習に少しでも参考になったのであれば幸いです。