ビジネスパーソンに聞いた取得したい資格ランキングでは、FP、簿記、宅建、TOEICを抑え第1位に選ばれるほど、年々人気が上昇している中小企業診断士資格。
この記事では、社会人に人気の中小企業診断士を学生が目指すメリットを7つピックアップして解説していきます。
かくいう私も大学生の時に中小企業診断士資格を取得しており、非常にメリットを感じた一人ですので、その経験談も踏まえてお伝えできればと思います。
今現在学生の方で中小企業診断士を目指そうか迷っている方にはぜひ読んで頂きたいですし、学生以外の方でも参考になる部分はあるかと思いますので、宜しければご覧下さい!
メリット1:「学生×中小企業診断士」の希少性
中小企業診断士はビジネスマンの間で大人気であるのとは対照的に、学生の間では驚くほど知名度が低いです。
毎年の学生の受験者数は全国でたった400~600人程度で、合格者はなんと10人前後です(因みに合計の受験者数は毎年20,000人強、合格者数は3,000人前後)。
数字を詳しく見てみるために以下の3つの一覧表ご用意しました。
- 過去10年 中小企業診断士1次試験 学生合格率
- 過去10年 中小企業診断士2次試験 学生合格率
- 過去10年 中小企業診断士試験 合格率(学生・全体比較)
順番にご覧下さい。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
H23年 | 626人 | 45人 | 7.1% |
H24年 | 542人 | 68人 | 12.5% |
H25年 | 509人 | 43人 | 8.4% |
H26年 | 517人 | 52人 | 10.0% |
H27年 | 400人 | 37人 | 9.2% |
H28年 | 434人 | 36人 | 8.2% |
H29年 | 443人 | 35人 | 7.9% |
H30年 | 479人 | 47人 | 9.8% |
R元年 | 564人 | 59人 | 10.4% |
R2年 | 613人 | 108人 | 17.6% |
平均 | 10.1% |
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
H23年 | 67人 | 9人 | 13.4% |
H24年 | 91人 | 24人 | 26.3% |
H25年 | 74人 | 12人 | 16.2% |
H26年 | 63人 | 12人 | 19.0% |
H27年 | 48人 | 9人 | 18.7% |
H28年 | 50人 | 13人 | 26.0% |
H29年 | 47人 | 12人 | 25.5% |
H30年 | 55人 | 10人 | 18.1% |
R元年 | 74人 | 11人 | 14.8% |
R2年 | 106人 | 20人 | 18.8% |
平均 | 19.6% |
年度 | 学生合格率 | 全体合格率 |
H23年 | 0.9% | 3.2% |
H24年 | 3.2% | 5.8% |
H25年 | 1.3% | 4.0% |
H26年 | 1.9% | 5.6% |
H27年 | 1.7% | 4.9% |
H28年 | 2.1% | 3.3% |
H29年 | 2.0% | 4.2% |
H30年 | 1.7% | 4.4% |
R元年 | 1.5% | 5.5% |
R2年 | 3.3% | 7.8% |
平均 | 1.9% | 4.8% |
中小企業診断士の合格率を過去10年分まとめて分析した記事はこちら
いかがでしょうか。この通り、大学生が中小企業診断士試験に合格しようとすると相当な努力が必要であることが上記の表から読み解けるのではないでしょうか。
ただ、これを前向きに捉えれば、「学生×中小企業診断士」というのはとても希少性があるわけで、いわゆるレアキャラになることができます。
しかも社会人に人気の資格ですから、ビジネスの世界において価値のあるレアキャラになれるということです。
テクノロジーの発達によって様々な業務の担い手が人間から機械に変わっていき、単純作業しかできない人や付加価値を生み出せない人は職を失うと考えられています。
希少性のある人間が生き残る時代で「学生×中小企業診断士」というのはとてもいい選択肢になると思います。
メリット2:学業との相乗効果
中小企業診断士試験は企業経営全般の知識の学習をするため、実はかなり広い分野が試験範囲に網羅されています。
そこには経営学のみならず、法律、IT、工場のオペレーションなども含まれます。
ですからどんな形であれ、学校で学んでいることが試験突破に役立つだったり、合格への布石になる可能性は高いと言えます。
例えば1次試験に「経営情報システム」というIT分野の科目があります。
これは文系出身者や普段仕事で携わってない人からすればとっつきにくい科目なのですが、理系出身者やIT業務に従事されている人からすればかなり難易度は低いそうです(私は文系だったので大変でした苦笑)。
「経営法務」という科目についても、法学部所属か否かで高得点への道のりは変わります。
経営コンサルティングの資格だから自分には関係ないと考える学生さんもいるでしょうが、どんな専攻であれ今の学業が合格の近道になる可能性は大いにありますよ。
逆に、中小企業診断士の学習が学業への補足にもなります。
当時私は経営学部に所属していましたが、試験勉強で基礎から学び直したことで、それまで皆目理解できなかった財務会計論やマーケティング論の授業についていけるようになりました。
学校の講義では習うことのない分野も勉強をしたので、体系的かつ広い視野をもって講義や研究に取り組むことができました。
中小企業診断士の学習を通じ多様な知識を得ることで、学校の勉強も今以上に楽しくなりますよ。
メリット3:学校では学ぶことのない「中小企業」について勉強ができる
日本全国の企業のうち中小企業の割合がどれくらいなのか、皆さんご存知ですか?
実は99%以上は中小企業です。
従業員ベースでみても約70%の方が中小企業に勤務しています。
つまり、中小企業なくして日本の経済は回らないのです。
それを知ると、もっと中小企業のことを知ってみたいと思う方は多いんじゃないでしょうか。
ですが、普段の生活の中で聞こえてくる会社は殆どが大手企業です。
学校の授業で取り上げられるケーススタディも圧倒的な確率で大企業の話です。
中小企業診断士試験の学習では、中小企業の現状や課題、大企業との採りうる戦略の違いなどについて勉強することが出来ます。
これは中小企業診断士唯一の特徴です。
学校では学ぶことのない、しかもより現実的な分野の学習が出来るのは、学生にとってはとてもメリットです。
勿論、前提となる基礎的な経営学・経済学もその中に含まれるので、幅広い知識の習得が可能ですよ。
メリット4:社会人(起業家含む)との繋がりができる
前述もしましたが、中小企業診断士試験の受験者は大半が社会人です。
資格の学校(LEC、TAC等)に通われるのであれば、クラスメートは自分以外全員社会人だと思って頂いていいでしょう。
私の経験則では、資格の学校に通うと多かれ少なかれ気のおける仲間ができます。
授業後に飲み会が開かれることはよくありますし、独自に勉強会を開催する人たちもいます。(全員ではありませんが)
さらに、起業家である講師の方との繋がりもできます。
資格学校に通わない場合でも、合格後に人脈を広げることは容易です。
2次試験合格後の実務補習では、試験合格者5-6人が1チームになって数日~数ヶ月間実務にあたりますし、資格取得者だけが参加できる勉強会も沢山ありますので、多くの社会人の方とコミュニケーションを取ることできます。
学生にとって、社会人との繋がりは有意義なことばかりです。
社会のあれこれを教えてくれる貴重な存在ですし、学生が最も不安な行事である就職活動の相談だって出来ます。
メリット5:勉強時間が確保できる
日本版MBAとの呼び声もある中小企業診断士、決して簡単な資格ではありません。
1次試験は平均1,000時間、2次試験は平均500時間の勉強時間が必要と言われています。
仕事をしながらこの勉強時間を確保することが、この資格試験を突破する上での一番の課題です。
一方学生は、社会人に比べれば時間の確保は容易です。
私の個人的な意見ですが、中小企業診断士は難関資格とは言われているものの、時間をかけさえすればほぼ間違いなく合格できる資格だと考えてます。
もう少し踏み込むと、2次試験に関しては主催側から公式の模範解答が発表されない分、勉強時間と合格率が比例しないことはありますが、マークシート方式の1次試験はある程度の勉強時間さえ確保できれば必ず受かります。
ビジネスパーソンが取得したい資格ランキング1位の難関資格を手に入れるアドバンテージを、全国の学生のみなさんは持っているのです。
サラリーマンの頃、働きながら中小企業診断士を目指していた同僚を何人も見てきましたが、皆さん本当に大変そうでしたし、学生の時に始めていて本当に良かったと今でも感じます。
なお、以下の記事で私が学生時代に資格を取得した際のスケジュールも公開しておりますので、こちらもご覧いただければと思います。 中小企業診断士試験は、まだまだ学生の間では知名度が低い資格試験です。 「勉強を始めてみたいけどどのように取り組んでいけばいいのか不安」 「いくら勉強をしても模試の点数がなかなか伸びない」 こういった学 ...
学生時代に中小企業診断士を取得したゆーさながスケジュールを公開!
メリット6:人生の選択肢が広がる(=独立が選択肢になる)
学生の皆さんの中で、フリーランスで仕事をすることや起業をすることを現実的に考えたことがある方はまだまだ少数派だと思います。
勘違いして頂きたくないのは、起業が正しいと言いたいわけではありません。
世の中には千差万別の仕事の仕方があるにも関わらず、知らず知らずのうちにその選択肢を自ら狭めてしまっているんじゃないか、ということをお伝えしたいのです。
学校という狭いコミュニティのみにいると、仲良くする人が限定され、学ぶことが限定され、考え方が限定される懸念があります。
中小企業診断士は、これまで書いてきたように幅広い知識も人脈も手に入れることができます。
今まで喋ったことがないタイプの人と話したり、様々な業界の情報を聞くことができます。
これは本当に素晴らしいことですし、合格しようがしまいが必ず自分の財産になるでしょう。
そしてその中でも特に貴重なのが「独立」の可能性です。
親族が起業家でもない限り独立は自分とは無縁だと考えてしまいがちですが、中小企業診断士の学習を通じて出会う人の中には、既に脱サラ→起業の道を歩んでいる方や、独立の準備をしている方が沢山います。
そういった姿を自分の目で見て肌で感じることで、自分の人生の選択肢も広がることと思います。
メリット7:就活に有利
私は、就活のためだけに中小企業診断士の学習を始めるべきとは思いませんが、結果的に中小企業診断士資格は就活に有利に働く可能性が高いです。
私自身は、就活の時期は1次試験すら合格できていない状況でしたが、なぜ中小企業診断士を受験しようと思ったのか、どのように学習し何を学んだのか、などを話したことで、各社から高評価をして頂き複数の会社から内々定を頂きました。
中小企業診断士の話は興味深かったと後日言われたので、学習をしていたことが有利に働いたことは間違いありません。
何事も真摯に取り組めば、それは自然に自分の血となり肉となります。
しかもそれが中小企業診断士であれば、高く評価してくれる人は多いのではないかと考えています。
なお、いくら中小企業診断士試験に合格したからと言って、「俺凄いだろ(エッヘン)」的な態度は面接官に悪印象なので注意して下さいね(笑)
私の友人で1人そういう者がいたので念のため。。
まとめ
ここまで、私の経験則も踏まえた上で学生が中小企業診断士を目指すメリットについてお話ししました。
メリットについては本記事で7つご紹介しましたが、正直もっとあるかもしれません。
学生時代に中小企業診断士資格を取得するという事は、今後の人生においてかなり道が拓けてくると思います。
私自身、大学生の頃に学習を始めて、友達との時間やバイトをできる時間が減るのは不安でしたが、今では学生の頃に勉強を始めて本当に良かったと思っています。
何か勉強を始めたいと思っている学生の皆さんは、ぜひ参考にしていただければと思います。
なお、記事中盤でもご紹介した通り、私の学生時代の学習スケジュールも別記事で作成しておりますので、こちらも宜しければご覧下さい!
学生時代の学習スケジュール記事はこちら
-
学生時代に中小企業診断士を取得したゆーさながスケジュールを公開!
中小企業診断士試験は、まだまだ学生の間では知名度が低い資格試験です。 「勉強を始めてみたいけどどのように取り組んでいけばいいのか不安」 「いくら勉強をしても模試の点数がなかなか伸びない」 こういった学 ...